2児の母、よう子さん。
43歳。
育児とパートに追われる日々の中、お菓子を焼くのが唯一の自分の時間であり、無になれる至福の時。
「お菓子屋さんになりたい。」
子供の頃からの夢。
ある日、小学生の娘が「ママのお菓子、学校の友達の間でめっちゃ人気やねんで~」
自分の中で何かがスパーク
「よし、やってみよう。」
半年後、小さな焼菓子店を開業。
ご祝儀来店は賑わったものの、その後は、ずっと赤字続き。
「パートにフルで入ってたほうが全然よかったな・・・」
店の前を見向きもせず通り過ぎる人たちを見るたびに、「これって、もしかして、お店失敗?」という思いが脳裏をよぎる。
収支的には苦しい日々が続き、すやすや寝息を立てる娘の横で涙をこぼす日もあった。
それでも、作ることが好き。
やめたいという気持ちはない。
ある日、近所に住む60代の常連の女性が「うちの娘(30代半ばシングルマザー)が、よう子さんのお菓子は『頑張れる味』って言うててなぁ~いつもめっちゃ楽しみにしてるのよね~(*´∀`*)」と。
この言葉で、また心に火が灯る。
「やっぱわたしのやってることは間違っていない!」
改めて、自分の好きなお菓子作りに集中することを決意。
今、店内は焼き立ての甘い香りで満ちている。
子どもたちの笑顔と一緒に、よう子さんは今日も明日も幸せを焼き続ける。
・・・
以上、創作。
「頑張れる味」ってなんかいいね。